①必要最低限のサイズは?
3~4年ほど前のことですが、東京都心部のある高級住宅地を歩いていたところ、女性のかたがベンツを自宅 (たぶん自宅だと思う) の車庫に入れようとしている場面に出くわしました。2回ほど切り返しをしていたので 「何だか危なっかしいなぁ」 と思いながらみていたのですが、最後に車の左側うしろ半分を門扉で擦り、とどめにバンパー部分で家の壁を “破壊” した瞬間を目撃したのです (私の視線が気になった・・・なんてことはないはず) 。
もちろん車のサイズだけでなく、運転をする個人の技量に左右される部分も多いのですが、自宅車庫からの出し入れでたびたび失敗していては、たとえそれをカバーする保険に入っていたとしても大きな負担増は免れませんね。極端に考えれば、少しぐらい価格が高くても車庫が広い家を買ったほうが、結果的には安上がりなんてこともあり得ます。
それでは、必要最低限の車庫のサイズはいったいどれくらいでしょうか。財団法人駐車場整備推進機構 (車庫研究会) から公表されている資料をみると、一戸建て住宅で1台の駐車に最低必要なスペース (※) は、小型自動車の場合に長さ5.0m×幅2.6m、同様に軽自動車なら4.0m×2.2m、普通自動車 (大型) なら5.9m×2.9mとされています。
※ 前面道路に対して直角方向に駐車する場合。
また、建築士などの話では設計上の最低ラインとして5.0m×2.5m程度を考えていると聞くこともあるのですが、実際にはそれに満たない車庫サイズの建売住宅なども少なくないようです。
次第に軽自動車やコンパクトサイズの車のシェアが高まってきているようですから、いまもこれからも小さい車にしか乗らないという人であれば、それで十分かもしれませんけどね。ただし、車庫があまりにも小さいと将来的に中古住宅として売ろうとしたとき、ニーズが少なくなりかねないことには留意をするべきです。
②車のサイズによる考え方
ところが、軽自動車のサイズはほぼ似通っているものの、小型自動車 (2000cc以下) や普通自動車のサイズはかなり違っているのが実情。たとえば同じ小型車クラスでも、トヨタ・プリウスは全長4445mm×全幅1725mm、日産・セレナは4315mm×1780mm、ホンダ・フィットは3900mm×1695mmなどとなっています。
いま実際に乗っている車、あるいは将来乗りたい車のサイズに合わせて車庫の大きさを考えることも必要ですが、一般的には車の全長に80cmを加えた奥行き、車の全幅 (ミラーを除いた幅) に130cm (110cmとする考え方もある) を加えた幅が、車庫の “最小限” の広さとされています。
そうすると、上の駐車場整備推進機構による 「最低必要なスペース」 ぎりぎりでは、ちょっと厳しいケースも多いことでしょう。
さらに車を2台、3台と駐車したい場合であれば、それなりの車庫幅が必要になることは説明するまでもありませんね。
③法定の車庫サイズは、ない
車庫のサイズについて法律の規定はありませんが、国土交通省による標準駐車場条例 (一定規模以上の建築物の駐車施設について定めたもの) では、 「駐車台数1台につき幅2.3m以上、奥行5m以上」 をモデルとしています。ちなみに、車いす利用者のための駐車施設では 「幅3.5m以上、奥行6m以上」 となっています。
また、スペース内にきちんと車を停められ、乗り降りに支障がなければ車庫証明も取得できるため、かなりぎりぎりのサイズでも問題はないとされますが、実際の運用にあたっては申請先の警察署によって違いもあるようです。
少しはみ出していても全く問題がなかったという事例を聞くこともある一方で、東京都新宿区内に住んでいた私の知人は、奥行が5cm足りないという理由 (幅は2mほどの余裕があった) で車庫証明を取得できなかったとか。見た目ではあまり気付かない程度に、バンパーの一部が道路へはみ出しているだけでしたけどね。
④前面道路の幅も問題!
紹介した財団法人駐車場整備推進機構による 「最低必要なスペース」 は、実は前面道路の幅員が6m以上の場合を想定したもの。これが4mの場合なら、車庫の幅はさらに60cmほど広く考える必要があります。前面道路の幅が4m未満 (狭あい道路) の場合なら、もっと余裕が必要ですね。
さらにそれぞれの車がもつ 「最小回転半径」 の性能も問題に。前面道路の幅が狭く、車庫の幅も狭く、最小回転半径が大きければ、何度も切り返さなければ車の出し入れができないことになってしまいます。
このようなとき、下図のように車庫の一角にすみ切りがあれば、車庫の幅の狭さを少しだけカバーできる場合もあります。また、変形した敷地や車庫の出入口に傾斜がある敷地など、もともと車の出し入れに慣れが必要な場合は、少しでも車庫の幅に余裕が欲しいところですね。道路に立っている電柱が邪魔になる場合も同様です。
⑤自転車のことも考えて
家族が使う自転車やバイクがある場合には、車庫とは別に専用のスペースを設けることが理想です。しかし現実にはなかなかそうもいきませんね。
自転車1台で1m×2mのスペースが必要とされていますから、車庫の片隅に自転車などを置く予定であれば、そのぶんの余裕があるのかどうかを十分に確認しておかなければなりません。原付などではなく、大きめのバイクのときには、もちろんそれなりのスペースが必要です。